Protocols
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1 kbを越える配列は一気に塩基配列を正確に決定することが難しい場合が多く、さらに適当な制限酵素サイトが存在しない場合にはdeletion seriesを調製する必要がある。また、本法はプロモーター解析におけるdeletion seriesの調製にも応用することができるであろう。
☆Protocol!☆
ここでは、pBluescript II SK (Stratagene) のEcoRV siteに挿入した断片の塩基配列決定を目的としたdeletion series作成を実例として挙げる。使用したキットはKilo-Sequence用Deletion Kit (Takara-bio)。
Step 1 制限酵素処理
1) ベクターのマルチクローニングサイトにおいて、挿入断片のdeletionをしたい側で3'-末端突出になる制限酵素(読みたい側、ここではEcoRI)と5'-末端突出になる制限酵素(ベクター側、ここではPstI)をさがす。さらに、選んだ制限酵素切断部位が挿入断片に存在しないことを確かめておく。
2) 選んだ制限酵素を用いて、超遠心精製したプラスミド10 μgを完全に切断する。
3) フェノール抽出、フェノール・クロロホルム抽出、クロロホルム抽出
4) エタノール沈殿、リンス、乾燥
Step 2 Deletion Reaction
1) 制限酵素処理済みのプラスミドDNAを100 μLのExonuclease III Bufferに溶解する。
2) 氷冷。別にもう一本チューブを用意して、MungBean Nuclease Buffer 100 μL を入れて冷やしておく。
3) プラスミドDNAの方に氷冷中でExonuclease IIIを1 μg入れ、穏やかに混ぜる。
4) 37℃にインキュベート。37℃の処理開始後、15秒、30秒、1分、1.5分、2分、2.5分、3分、3.5分、4分、5分の時点で10μLずつ採取し、氷冷したMungBean Nuclease Bufferの入ったチューブの方に移す。
5) 65℃に10分インキュベート(Exonuclease失活)
6) 室温に5分おく
7) 2 μLのMungBean Nucleaseを入れ、穏やかに混ぜる
8) 37℃に1時間インキュベート
9) フェノール抽出、フェノール・クロロホルム抽出、クロロホルム抽出
10) エタノール沈殿、リンス、乾燥
Step 3 Klenow Enzymeによる修復(平滑末端化)
1) Deletion反応後のDNAを50 μLのKlenow Bufferに溶解する。
2) 1 μLのKlenow fragmentを入れ、穏やかに混ぜる
3) 37℃に15分インキュベート
4) 65℃に5分インキュベート
5) フェノール抽出、フェノール・クロロホルム抽出、クロロホルム抽出
6) エタノール沈殿、リンス、乾燥
Step 4 ライゲーション~形質転換
1) 平滑末端化後のDNAを20 μLのTEに溶解する。このうち10 μLは別に分けてとっておく
2) 10 μLのTaKaRa Ligation Kit Ver.2 Solution Iを入れ、穏やかに混ぜる
3) 16℃に1-20時間(一晩推奨)インキュベート
4) 通常通り形質転換を行う。ただしコンピテントセルは通常より多く使用する(2倍程度)。LB-Ampプレートに塗るときには数枚に分ける。
5) 形質転換された大腸菌について、ミニプレップ後の制限酵素処理もしくはコロニーPCRで残存する挿入断片長を確認する。
Deletion Clone の調製法
Wednesday, February 6, 2008